「アクセス解析」と聞くと、多くの経営者は「数字が難しそう」「結局どう活かせばいいのか分からない」と感じます。
診断士として大切なのは、複雑な数値の羅列ではなく、経営に直結する“見方と伝え方”を押さえることです。
今回は、Googleアナリティクス(GA4)とサーチコンソールの基本的な指標と、経営者に伝えるべきストーリーを整理します。
1.アクセス解析で見るべきは「3つだけ」
(1) 集客数(どれだけ来たか)
・ GA4:ユーザー数、セッション数
・ 経営的な意味:見込み客との接点数
・ 質問例:「先月より見込み客との接触は増えましたか?」
(2) 行動の質(どれだけ読まれたか)
・ GA4:平均滞在時間、直帰率、ページビュー
・ 経営的な意味:興味を持たれているかどうか
・ 質問例:「サービス内容ページはしっかり読まれていますか?」
(3) 成果(どれだけ行動したか)
・ GA4:コンバージョン数(CV)=問い合わせ・資料請求・予約
・ 経営的な意味:売上につながる行動の数
・ 質問例:「アクセスのうち何%が問い合わせに至っていますか?」
👉 診断士は「アクセス数 → 滞在 → 問い合わせ」というKPIツリーで整理すると伝わりやすいです。
2.サーチコンソールで分かること
(1) 検索クエリ(どんな言葉で来たか)
例:「墨田区 家族葬」「パンフ制作 補助金」
👉 顧客が実際に使っている言葉が分かる
(2) 表示回数と順位(どれくらい見られているか)
・ 表示回数が多いのにクリックされない → タイトル改善余地あり
・ 順位が11位〜20位 → 記事を改善すれば上位に入る可能性大
(3) ページごとの成果
どの記事・ページが集客に貢献しているかが明確になる
3.経営者に伝えるストーリーの型
診断士が経営者に報告するときは、細かい数値より「ストーリー」で語ると刺さります。
・集客:「今月は○人が訪れました。先月比+20%です」
・興味:「特に○○ページの滞在時間が長く、関心を持たれています」
・成果:「結果として○件の問い合わせにつながりました」
・改善提案:「ただし△△のページは離脱率が高いので、料金表や事例を追加しましょう」
👉「事実(数字)」+「意味」+「改善提案」で1分レポートにまとめると経営者が動きやすいです。
4.クライアントにすぐ渡せるチェックリスト
[ ] GA4で「ユーザー数」「滞在時間」「CV数」を確認しているか
[ ] サーチコンソールで「検索クエリ」「表示回数」「順位」を確認しているか
[ ] アクセス数の推移を“先月比”で把握しているか
[ ] 問い合わせ率(CVR)を算出しているか
[ ] 改善提案を「次にやるべき1つ」に絞って伝えているか
5.成功事例
ある葬儀社では:
・ GA4で「家族葬プランページ」の滞在時間が短いことが判明
・ サーチコンソールで「家族葬 費用 相場」の検索流入が多いと分かった
・ → ページに「費用比較表+含まれない費用」を追加
結果、ページ滞在時間が2倍になり、問い合わせ率も改善。
👉 数字を“次の改善策”につなげることが最大の目的です。
まとめ
・ アクセス解析は「集客数」「行動の質」「成果」の3つで十分
・ サーチコンソールは「顧客が使う言葉」を知る武器
・ 診断士は「事実→意味→提案」のストーリーで経営者に伝える
あなたのクライアントは、どのページが一番読まれ、どのページから問い合わせが来ているかを把握できていますか?
まずはGA4とサーチコンソールを開き、この2点だけ確認してみてください。
次回予告
第10回「顧客体験を設計する(カスタマージャーニー)」
WEBとリアルをつなぎ、問い合わせ後の体験設計まで含めた“選ばれる仕組み”を解説します。
執筆:中小企業診断士/WEBコンサルタント 小泉悟志
・ 東京都中小企業診断士協会「WEBマーケティング研究会」代表
・ エリアマーケティング研究会「終活ビジネス部会」リーダー
・ 葬祭業界専門コンサルタント(セミナー・執筆多数)
・ 株式会社エンディング総研 代表取締役
・ 株式会社東京WEB集客パートナーズ 代表取締役