顧客は「広告を見て→すぐ購入」するわけではありません。
検索・比較・相談・体験…といった複数の接点を経て、ようやく購入や契約に至ります。
この一連の流れを カスタマージャーニー(顧客の購買行動プロセス) と呼びます。
今回は、中小企業が成果を出すために欠かせない 顧客体験設計のポイント を整理します。
1.カスタマージャーニーとは
・顧客が認知から購入・継続に至るまでの体験を地図化したもの
・ ポイントは「企業が売りたい流れ」ではなく「顧客が実際にたどる流れ」で描くこと
👉 顧客の立場で「どう調べ」「どう感じ」「どう行動するか」を可視化することで、抜け落ちている接点や不安を見つけられます。
2.基本の5ステップ
・ 認知:「知る」段階
広告、検索、SNS、口コミで情報を得る
・興味・関心:「もっと知りたい」段階
HP閲覧、事例ページ、動画、セミナー参加
・比較・検討:「他と比べる」段階
料金表、プラン比較、口コミ、FAQ、資料請求
・購入・契約:「決める」段階
問い合わせ、見積提示、相談対応、契約
・継続・紹介:「もう一度/人に勧める」段階
アフターフォロー、ニュースレター、会員制度、紹介特典
👉 この5つを一筆書きでつなぐのが「顧客体験設計」の第一歩です。
3.WEBとリアルをつなぐ設計
・ 認知 → WEB広告・SNS
・ 関心 → ブログ・動画・事例ページ
・ 比較 → 資料PDF・FAQ・口コミ
・ 契約 → 電話・対面相談・オンライン面談
・ 継続 → LINE公式・メルマガ・会員制度
👉 ポイントは「WEBでつかんでリアルで確信させる」。
中小企業ほど、リアル接点の安心感が決め手になります。
4.顧客体験設計チェックリスト
[ ] 認知段階で、検索やSNSから会社を見つけやすいか
[ ] 興味段階で、HPに「選ばれる理由」や「事例」があるか
[ ] 比較段階で、料金やサービスの流れが明確に出ているか
[ ] 購入段階で、問い合わせ導線やレスポンス体制が整っているか
[ ] 継続段階で、リピートや紹介につながる仕組みがあるか
👉 この5項目を確認するだけで「どこで顧客を逃しているか」が分かります。
5.成功事例
ある士業事務所では:
・ 認知:SEOで「相続 税理士 ○○区」で上位表示
・ 関心:HPで「失敗しない相続手続き10のチェックリスト」を提供
・ 比較:料金表と他社との違いを分かりやすく掲載
・ 契約:問い合わせ後は24時間以内の初回レスポンスを徹底
・ 継続:ニュースレターで「法改正情報」を定期配信
→ 結果、契約率が向上し、既存顧客からの紹介件数も増加しました。
まとめ
・ カスタマージャーニーは「顧客の実際の行動を可視化」する設計図
・ 認知〜継続まで5ステップで考える
・ WEBとリアルをつなぐ導線が整っているかがカギ
・ 診断士は「どの段階で顧客が離脱しているか」を見極め、改善提案を行う
あなたのクライアントの顧客は、どの段階で一番離脱しているでしょうか?
一度、紙に「認知〜継続」の流れを書き出してみてください。改善点が必ず見えてきます。
次回予告
第11回「補助金×WEB活用の可能性」
IT導入補助金や省力化補助金など、WEB施策を支援できる制度を解説し、診断士が提案できる「資金調達×WEB強化」の切り口を紹介します。
執筆:中小企業診断士/WEBコンサルタント 小泉悟志
・ 東京都中小企業診断士協会「WEBマーケティング研究会」代表
・ エリアマーケティング研究会「終活ビジネス部会」リーダー
・ 葬祭業界専門コンサルタント(セミナー・執筆多数)
・ 株式会社エンディング総研 代表取締役
・ 株式会社東京WEB集客パートナーズ 代表取締役